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関節リウマチに似た病気

関節リウマチ(RA)に似た病気は数多くありますが、関節リウマチ(RA)の診断における特異的(決定的)な検査・症状がないことから、関節リウマチ(RA)を他類似疾患と鑑別をおこなって確定診断することが重要になります。鑑別疾患として、変形性関節症や膠原病(結合組織病)、リウマチ性多発性筋痛症、乾癬性関節炎などがあり、関節リウマチ(RA)と同様な関節症状がありますので診断に注意が必要とされています。特に関節リウマチ(RA)の初期の症状は、軽症の膠原病(結合組織病)に似ています。
関節リウマチ(RA)は3つ以上の関節が同時に腫れて痛みがある慢性の多発関節炎です。多発関節炎の症状を起こす関節リウマチ(RA)に似た病気があります。全身性エリテマトーデス(SLE)・強皮症(PSS)・混合性結合組織病(MCTD)などの膠原病(結合組織病)に伴う関節炎は、指や手といった小さい関節に起こりやすく、病気の初期においては関節リウマチ(RA)とよく似ています。ただ、関節の変形が起こらない点で関節リウマチ(RA)と異なります。変形性関節症・強直性脊椎炎・乾癬性関節炎・成人スティル病も多発関節炎が起こりますから、関節リウマチ(RA)と紛らわしく混同されやすい病気です。
関節リウマチ(RA)に似た症状があって、関節リウマチ(RA)ではないかと心配して診察をうけるケースで多いのが変形性関節症です。これは加齢(老化)に伴う軟骨の変性疾患で高齢者に多い病気です。単関節炎は関節リウマチ(RA)と間違えられることはまずないといえます。いずれにせよ、「関節リウマチ(RA)かも」と思うような症状があるならば、専門医に診断してもらうことをおすすめします。

※変形性関節症: 変形性手関節症、ヘバーデン結節、ブシャール結節などがあります。
※単関節炎:1つだけの関節が腫れて痛む病気で、痛風、偽痛風、感染性関節炎などがあります。
※軽症の結合組織病(膠原病)は未分化型結合組織病とかボーダーライン(境界型)膠原病などと呼ばれます。軽症の結合組織病(膠原病)の場合は、症状が多様かつ軽いことが多く、まったく症状がない時期があったりします。

関節リウマチの治療効果

関節リウマチ(RA)の関節破壊は早期から進行し、治療が遅れるほど関節の変形も進みますし、関節リウマチの治療効果も悪くなると考えられています。従来は「関節リウマチ(RA)の関節破壊は、発症後10年という長い時間をかけて徐々に進行する」と考えられていましたが、関節リウマチ(RA)における微小な骨関節の破壊は発症後2年以内に急速に進行し、より初期に関節破壊が形成されることがわかっています。関節リウマチ発症初期の2年間を「Window of opportunity(治療効果の最も高い限られた時期)」として、関節リウマチの治療効果が高い重要な時期としています。この関節リウマチ発症の初期2年間(実際は半年~1年ほど)に、積極的で徹底的な治療を行うかどうかで、10年・20年先の関節予後が違ってくるといわれています。関節リウマチの治療効果を十分に引き出して、良好な関節予後のためには、関節リウマチ(RA)の確実な診断と早期の治療が決め手になります。ただ、大半の関節リウマチは程度の差こそあれ、長いお付き合いになると考えたほうがよいようです。関節リウマチの治療は、基礎治療・薬物治療・リハビリテーション・手術治療の総合的治療による最大限の治療効果を得ることで、関節リウマチ患者のQOLの維持・向上につながります。

関節リウマチの基礎療法

関節リウマチ(RA)の基礎療法とは、関節リウマチ(RA)の患者本人が日常生活の中で行う治療です。関節リウマチ(RA)の生活指導で、関節リウマチに関する正しい知識をもって、適度な運動と安静の維持・規則正しい生活と栄養バランスの良い食事・冷えや湿気への対策などを理解します。そして、実際の日常生活の中で患者自らが実践します。関節リウマチは長いお付き合いになる病気です。自分の病状を十分に理解して主治医とともに関節リウマチを上手くコントロールすることが重要です。患者本人の前向きに関節リウマチ(RA)に取組む姿勢や日常生活での態度が治療に大きく影響します。患者本人の努力が基本ですが、患者を取り巻く環境づくりに、家族など周囲の人の理解と協力も不可欠です。
■関節リウマチ(RA)の基礎療法:病気の基礎知識
基礎療法の中には関節リウマチ(RA)という病気をよく知ってもらうための患者教育も含みます。病気に関する正しい知識は、不要な不安を解消してくれますし、病状・治療内容・生活指導内容を理解する助けになります。
■関節リウマチ(RA)の基礎療法:適度な運動と安静の維持
日常生活で行う基礎療法として、安静と適度な運動があります。安静の原則は全身的安静・局所的安静・精神的安静です。疲れているときや炎症があるときは無理をせず、精神的ストレスの原因を解決することが大切です。運動も大切で、日常生活にリウマチ体操などの運動を取り入れて関節機能の保持をします。
■関節リウマチ(RA)の基礎療法:規則正しい生活と栄養バランスの良い食事
バランスのよい食生活も基本です。関節リウマチは慢性の消耗性疾患であることから、高蛋白・高カロリーの食べ物が必要といわれています。ただ、肥満は関節の負担になりますから、過食にならない注意が必要です。
■関節リウマチ(RA)の基礎療法:冷えや湿気への対策など
症状を悪化させるような全身または局所の関節が冷えるようなことは避けます。冬期だけでなく冷房を使う夏期の冷えにも注意する、お湯を使うなどして水仕事による冷えで痛みを増幅させない、といった工夫や対策が必要です。

関節リウマチの薬物療法

関節リウマチ(RA)の薬物療法に用いられる薬には、抗リウマチ薬(DMARD)、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)、ステロイド(副腎皮質ホルモン薬)などがあります。近年は、更に生物学的製剤と呼ばれる薬も用いられるようになりました。関節リウマチ(RA)の薬治療のかつての方法は、副作用が少ない薬から用いて、薬の効果が不十分な場合に徐々に強い薬に切り替えるのが一般的でした。例えば、非ステロイド系抗炎症薬で効果が不十分ならば抗リウマチ薬を使うといった方法です。昨今は、切れ味の良い薬をまず用いて、長期間使えて副作用の少ない薬に徐々に切り替えていく方法が取られるようになってきています。例えば、早期に抗リウマチ薬の使用を開始して、必要に応じて非ステロイド系抗炎症薬やステロイド(副腎皮質ホルモン薬)を併用し、抗リウマチ薬の効果があれば抗炎症薬を減らしたり中止したりします。抗リウマチ薬の効果が不十分な場合は、更に強い抗リウマチ薬に切り替えられたりします。関節リウマチの治療に使う薬に限らず、副作用の全くない薬はありません。薬の副作用も含めて医師から十分な説明を受けて、医師の指示通りに薬を使用することが重要になります。疑問がある場合は医師に聞いて解決しておきましょう。
■関節リウマチ(RA)の薬物療法の効果と副作用:抗リウマチ薬(DMARD)
炎症の原因になっている免疫異常に働きかけて、病気の進行そのものを抑えることを目的とした薬です。1ヵ月~半年ほどの期間で薬の効果の判定をします。薬の効果が不十分な場合は、他の抗リウマチ薬(DMARD)に切り替えたりします。抗リウマチ薬の使用開始から数ヶ月の間に副作用が出てくることが多いようです。医師の指示に従った服用が重要です。
■関節リウマチ(RA)の薬物療法の効果と副作用:非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)
関節リウマチ(RA)の痛みと炎症を抑える薬です。消炎鎮痛剤(NSAID)の薬のタイプは飲み薬・坐薬・貼り薬・塗り薬・注射薬と様々です。副作用で多いのが胃腸障害で、特に胃・十二指腸潰瘍(NSAID潰瘍)に注意を要するとされています。この副作用は飲み薬だけでなく坐薬でも起こることがあります。
■関節リウマチ(RA)の薬物療法の効果と副作用:副腎皮質ホルモン(ステロイド)
消炎鎮痛剤(NSAID)よりも効果が強く、炎症が激しい場合などに使用する薬です。長期使用で副作用が出現するため少量の使用が望ましいとされています。ステロイドの薬には、飲み薬・塗り薬・の他に、関節の中に直接注射する薬があります。

抗サイトカイン療法

関節リウマチ(RA)の関節組織にはサイトカインという蛋白物質が深く関わっていることが分かっています。炎症性サイトカインの働きだけを抑えるサイトカイン阻害薬を用いた治療法が抗サイトカイン療法です。抗サイトカイン療法は関節リウマチの痛みや腫れを改善し、病状自体の進行を抑えることができるとして期待されている治療方法です。サイトカイン阻害薬は、バイオテクノロジーを応用して人工的に作られた生物学的製剤です。生物学的製剤であるサイトカイン阻害薬には、入院して点滴を受ける薬や、通院で皮下注射する薬など数種類あります。抗サイトカイン療法という関節リウマチの治療方法は、従来の治療方法で改善が見られないケースにも効果が期待できる画期的な治療方法といわれ、従来の抗リウマチ剤(DMARD)にあった重篤な臓器障害がないとされており、日本国内でも使用されはじめています。ただし、生物学的製剤共通の問題点として、症状が進んでしまっているケースに対する効果に限界があることや、免疫力低下による肺炎や結核といった感染症に罹病しやすいということがあります。炎症性サイトカインを抑制することで発熱・CRP亢進・白血球増加といった感染を示す指標が現れにくくなるため、気付かずに感染症が重症化していることもあり、免疫力の低下した高齢者で注意が必要とされています。抗サイトカイン療法は、副作用の問題や薬剤の種類によって効果が大きく異なることがわかってくるなど、新しい発展途上の治療方法であることから、未知の部分が残っている治療方法といえます。また、抗サイトカイン療法に用いる薬剤が高価なため、保険診療であっても患者負担が大きいことも問題の治療方法といえます。

関節リウマチのリハビリ治療

関節リウマチの痛みで長い期間安静状態でいると、筋肉が萎縮したり、関節が固まって動かなくなってしまうことがあります。そこで、運動機能を妨げる関節の痛みといった症状を軽減したり、日常生活動作(ADL)を維持できるリハビリテーション・プログラムが必要になります。関節リウマチのリハビリテーションの種類には、理学療法(物理療法・運動療法) 、作業療法、装具療法といった種類があります。リハビリ治療は関節リウマチにとって重要な治療で、関節リウマチのリハビリテーションの基本は運動療法です。関節リウマチのリハビリテーションの目的は、関節が固まって関節が動かなくなるといった機能低下や、関節を動かさないことで進行する関節の変形の予防や、筋力の低下や骨粗しょう症の進行を予防することです。関節リウマチのリハビリテーションは毎日行うことが重要で、病院での理学療法士や作業療法士によるリハビリ治療だけでなく、患者の自主訓練が重要とされています。関節リウマチのリハビリテーションは、毎日続ける、無理や過度にならない注意、自主的に行うことがのポイントになります。関節リウマチ症状が安定している場合は在宅でも可能ですが、関節リウマチのリハビリテーションを行うタイミングがあります。炎症の強いときは痛みをコントロールして局所を安静にすることを優先します。炎症が落ち着いたら関節の運動や筋力増強などのリハビリテーションを行います。
■関節リウマチ(RA)のリハビリテーション(リハビリ治療):理学療法(物理療法と運動療法)
○物理療法:関節リウマチの物理療法の種類には、温熱・光線療法(パラフィン浴、極超短波療法、超音波療法、ホットパック)、水治療法(過流浴、気泡浴)、電気療法(TENS、SSP、低周波治療法)、寒冷療法(アイスマッサージ、アイスバック)などの種類があります。関節の痛みや腫れの軽減、局所の血行改善や筋肉の緊張の改善などを目的としています。
○運動療法:関節リウマチの運動療法の種類には、関節可動域改善訓練、筋力増強訓練、他動的ストレッチ体操、などの種類があります。関節リウマチに伴う関節機能(関節の可動域の維持や拡大)と筋力低下を予防改善することが目的としています。実際のリハビリ治療は、関節リウマチ専門医の指示を受けて、理学療法士が患者さんとマンツーマンで行われます。
■関節リウマチ(RA)のリハビリテーション(リハビリ治療):作業療法
関節リウマチの作業療法の種類には、ADL訓練、機能的作業療法、趣味的作業療法などの種類があります。作業療法は、病院では作業療法士や理学療法士の指導のもとに行われます。ADL動作の改善、QOLの向上を目的としています。
■関節リウマチ(RA)のリハビリテーション(リハビリ治療):装具療法
慢性関節リウマチが進行すると、関節の動きが悪くなったり不安定になるなど関節機能が低下します。装具療法は、補装具を関節に装着して、ある程度固定しすることで関節の安静と支持性を保ち、進行を予防することを目的としています。関節リウマチで使われる代表的な装具の種類には、サポーター・杖・頚椎カラーなどがあります。作業療法士や理学療法士と相談して、関節リウマチの症状に適した装具を選ぶのがよいです。

※ADL: 日常生活動作 activities of daily living
※QOL: 生活の質 quality of life

関節リウマチの手術治療

関節リウマチ(RA)の病状が進行すると関節破壊などが起こって様々な機能障害が生じてきます。関節リウマチの治療として、薬物治療で活動性をコントロールしたり、可動域訓練や筋力増強トレーニングなどのリハビリテーションを行ったり、理学療法や装具で改善を図る、などの治療努力にも関わらず、関節の痛みが軽減しなかったり、関節障害による歩行困難などで日常生活に支障が出る場合は手術療法が検討されます。薬物療法やリハビリテーション療法は関節リウマチ(RA)の治療初期から開始されますが、手術療法を行う時期はタイミングを見極めることが大切です。手術は関節リウマチ自体を治す治療法ではありません。どの手術を受ける場合でも、手術の必要性や手術によるデメリットなどについて、担当の医師とよく相談することが大切です。関節リウマチの手術には、人工関節置換術・滑膜切除術・関節固定術・関節形成術などがあります。
■ 関節リウマチの手術治療:人工関節置換術
人工関節置換術とは、関節リウマチで高度に破壊された関節を人工関節に置き換えることで、関節の痛みを取り除いて関節機能を再建することを目的とした機能再建手術です。人工関節置換術は肩・肘・指・股・膝・足・足趾に行われます。特に股関節や膝関節の人工関節置換術は、関節リウマチだけでなく変形性関節症にもよく行われている手術です。
■ 関節リウマチの手術治療:滑膜切除術
滑膜切除術とは、炎症で腫れた関節滑膜を切除する手術です。主に滑膜切除術が行われる関節は肘・手関節・指・足関節などです。滑膜切除術は、関節の痛みや腫れを改善したり、関節の可動域を向上させて、関節破壊(骨や軟骨の破壊)の進行を防ぐことを目的としています。以前の滑膜切除術は関節を切開して行う手術でしたが、昨今は関節鏡視下で行う鏡視下滑膜切除術が多くなっています。
■ 関節リウマチの手術治療:関節固定術
関節固定術とは、関節の可動性は失われますが、痛みを取り除き支持性を得ることを目的に行う手術です。主に関節固定術が行われるのは、動かさなくともさほど困らないような関節の頚椎・手関節・足関節・手指(特に母指)や足の母趾などです。
■ 関節リウマチの手術治療:関節形成術
関節形成術とは、広義では人工関節置換術も含む、関節を再構築する手術です。関節の形状が残っている状態の時に、関節の一部を削ったり形を整えたりして、機能改善・外観修復・痛み軽減を目的に行う手術です。足趾・手首・肘・指などで行われますが、全ての関節に行える手術ではありません。

関節リウマチの漢方薬

西洋医学における関節リウマチの治療は、抗リウマチ薬や抗炎症鎮痛剤などを用いて治療する薬物療法が中心的な治療方法で、関節の炎症が続いて関節の痛みや腫れが酷くなったり、関節破壊が悪化したりすると、外科的療法(手術)が行われます。一方、東洋医学における関節リウマチの治療は、まず血液の循環と水分の停滞を改善して、免疫力を高めることが大切だと考えます。漢方の見方では、関節リウマチの患者は、免疫機能が崩れた水毒の状態で、新陳代謝が低下して、体全体の冷えが強いのが特徴です。漢方薬は、この水毒や冷え状態を解消する効果があるとされています。漢方薬には免疫力を高める働きがあるといわれていますが、治験によって明確な効果が確認されている漢方薬はないようです。ただ、医療の現場では漢方薬が用いられることもあります。その場合は漢方薬を単独で使うというよりは、抗リウマチ薬と合わせて使うのが通常のようです。患者さんの体質や体調によって用いる漢方薬は異なるといわれています。同じような関節の痛みや腫れであっても、体質や痛み具合や腫れの状態をみて適すると考えられる処方が決まります。

関節リウマチの貧血

関節リウマチ患者の6割以上に軽度から中程度の貧血症状がみられます。関節リウマチに合併する貧血といっても原因は様々です。関節リウマチに合併する貧血としては、炎症性貧血、鉄欠乏性貧血、腎性貧血、骨髄性貧血が挙げられます。関節リウマチでは貧血を合併しやすくなることから、貧血検査が行われるようですが、関節リウマチではヘモグロビンが8g/dL以下といった重症の貧血ということはまずありません。貧血が急速に進行してくる場合は、どこかに出血がある可能性があります。微熱や息切れ、頭痛、疲労感といった貧血の症状が出現したならば、医師に相談して早めに原因を突き止めることが必要です。
■関節リウマチに合併する貧血:慢性炎症性貧血
炎症性貧血とは、関節リウマチの慢性的な炎症によって産生され増加した炎症性サイトカイン(炎症反応物質)が、骨髄での造血を抑制したり、赤血球の寿命を短くすることで起こる貧血です。関節リウマチに活動性に一致して現われ、関節リウマチの症状が軽くなる(炎症が軽くなると)と貧血は改善するようです。炎症性貧血の治療は、関節リウマチのコントロールになります。
■関節リウマチに合併する貧血:鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血とは、造血に必要な鉄が不足することで起こる貧血です。鉄欠乏性貧血は食生活で鉄分が不足すると起こりやすいのですが、関節リウマチにおける鉄欠乏性貧血の原因には、関節リウマチの治療に用いられる消炎鎮痛剤(痛み止め)などの薬剤によって引き起こされる消化器の潰瘍(胃潰瘍)や出血といった副作用が考えられます。鉄欠乏性貧血は慢性炎症性貧血と合併していることが多いようです。
■関節リウマチに合併する貧血:腎性貧血
腎性貧血とは、腎臓の機能の低下(赤血球を産生を促進するエリスロポイエチンとよばれるホルモン分泌が悪い)によって起こる貧血です。関節リウマチ患者は筋肉量が少ない傾向にあるため、腎臓が悪くなっていても血液検査に現われにくい特徴があります。腎性貧血は慢性炎症性貧血や鉄欠乏性貧血を合併していいることが多いようです。
■関節リウマチに合併する貧血:骨髄性の貧血・再生不良性貧血
関節リウマチの治療薬の抗リウマチ剤(特にリウマトレックス)や鎮痛剤は、骨髄での造血を抑制することがあります。原因になっている薬剤の使用中止が必要です。

アミロイドーシス

関節リウマチ(RA)の合併症の中でも二次性アミロイドーシスは消化管・腎臓・心臓などの臓器障害を起こし、予後が良くない合併症です。関節リウマチ(RA)で炎症が慢性的に続くと、炎症刺激で産生されたサイトカインの作用で、肝臓でアミロイドの前駆物質である血清アミロイドAタンパク質(SAA:serum amyloid A)が過剰生産されて、その分解や処理が不十分になって、アミロイド蛋白(AA: amyloid A)が臓器に沈着することでアミロイドーシスという合併症を発症します。アミロイドーシスとは、このようにアミロイド蛋白という繊維状の異常蛋白質が臓器に沈着することで機能障害が起こる病気の総称です。関節リウマチ(RA)の合併症である二次性アミロイドーシスの症状は、発症する臓器によって異なります。早期からアミロイドが沈着しやすいのが胃や十二指腸といった消化管で、関節リウマチ(RA)の合併症である二次性アミロイドーシスの初発症状は、消化管の症状であることが多いようです。消化器症状としては、便秘と下痢を繰り返す、吐き気、腹部膨張満腹感などが多く、腸管アミロイドーシス(アミロイドが腸管に沈着)が進行すると、難治性下痢や吸収不良をおこして、腸管の蠕動運動が低下します。消化器症状と同様に、関節リウマチ(RA)の合併症である二次性アミロイドーシスの症状が現われやすい臓器が腎臓です。腎臓の症状としてはネフローゼ症候群(顔や足のむくみ)や蛋白尿があり、進行すると腎機能低下をきたして腎不全の原因になります。循環器症状としては、不整脈・心臓の肥大・心筋虚血などがあり、進行すると心不全の原因になります。関節リウマチ(RA)の合併症である二次性アミロイドーシスの治療は、関節リウマチをしっかり治療することで炎症を抑えて、アミロイドAタンパクが過剰産生されないようにすることです。関節リウマチ自体の治療がアミロイドーシスの発症を予防し進行を抑制することになります。

※関節リウマチ(RA)による二次性アミロイドーシスを発症する大きな要因として血清アミロイドAタンパク質(SAA)がありますが、SAAの分解障害や、AA沈着の足場になる物質やAA沈着を安定させる物質も関与していると考えられています。

シェーグレン症候群

関節リウマチの合併症にシェーグレン症候群があります。長年にわたって関節リウマチを患っている場合はシェーグレン症候群を合併する頻度が高く、関節リウマチ患者の10~20%といわれています。シェーグレン症候群は関節リウマチと同じ膠原病の一つです。関節リウマチなど他の膠原病に合併するシェーグレン症候群を、続発性シェーグレン症候群とか二次性シェーグレン症候群と呼びます。シェーグレン症候群は、涙腺や唾液腺の炎症によって涙や唾液の分泌量が低下して、乾燥性角結膜炎(ドライアイ)や腔乾燥症(ドライマウス)の症状が現われる病気として知られていますが、シェーグレン症候群でも関節痛の症状が現われます。シェーグレン症候群の関節痛の症状は、複数の関節の痛みがあっても腫れることは少ないようです。この症状は関節リウマチの症状の初期に似ていますが、関節リウマチのような骨の破壊はありません。ただし、シェーグレン症候群の関節症で稀に見られるジャクー関節症では関節を包む関節包の炎症で、骨の破壊はありませんが、関節周辺が破壊されて関節が変形することがあります。対称性で多発性の関節炎が起こってきた場合は、関節リウマチの合併の可能性があります。
■関節リウマチの合併症(シェーグレン症候群):乾燥性角結膜炎(ドライアイ)
ドライアイの症状は、眼が乾く・ゴロゴロする・痛いなどです。ドライアイの治療としては、人工涙液の点眼や涙点プラグの装着などがあります。
■関節リウマチの合併症(シェーグレン症候群):腔乾燥症(ドライマウス)
ドライマウスの症状は、口が渇く、ネバネバする・乾いた物が食べにくくなる・味覚が障害される・虫歯が急に増えるなどです。ドライマウスの治療としては、人工唾液の他に唾液分泌促進薬(塩酸セビメリン)が使われるようになりました。

※他の膠原病と合併しないシェーグレン症候群を、原発性シェーグレン症候群とか一次性シェーグレン症候群と呼びます。

関節リウマチと骨粗鬆症

関節リウマチ(RA)は二次性骨粗鬆症(続発性骨粗鬆症)の原因になる病気のひとつです。関節リウマチ(RA)が骨粗鬆症(骨粗しょう症)を引き起こす原因としては、関節リウマチ(RA)による炎症のある関節周囲に起こる骨萎縮(罹患関節周囲の傍関節性骨粗鬆症)、痛みによる活動性の低下(廃用性骨粗鬆症)、関節リウマチの治療に用いるステロイド薬(カルシウム吸収障害による薬剤性骨粗鬆症)などが挙げられます。高齢の関節リウマチ患者では老人性骨粗鬆症(高齢女性の関節リウマチ患者では閉経後骨粗鬆症も)も原因として加わって、更に骨が弱くなって骨折しやくなり、転倒や打撲といった外傷でなくとも、日常生活の動作で脊椎や骨盤を骨折(疲労骨折)することさえあります。関節リウマチの関節変形や骨折によって、手足の機能低下や歩行不能、更には寝たきりといった最悪のケースも考えられます。安静が骨粗鬆症の進行を加速します。健康な人でも、使わないと筋肉の萎縮、関節の拘縮は意外と速く進行し、回復するにも時間がかかります。関節リウマチ(RA)では尚更です。骨量は一度減少すると増加させるのが簡単ではありませんから、骨粗鬆症の予防対策が大切です。関節リウマチの治療は勿論ですが、骨粗しょう症の検査を定期的に受けて、骨粗しょう症と診断されたら、早々に薬治療を開始することが重要になります。骨粗鬆症(骨粗しょう症)に関しては、治療に使用される骨代謝マーカーの測定ガイドラインをはじめ、骨粗鬆症(骨粗しょう症)の薬、治療技術において進歩しています。

※骨粗鬆症の定義:骨粗鬆症とは、骨塩量が減少することで骨微細構造が破綻して、骨強度が低下して骨折の危険性が増加している状態の全身性の疾患です。骨強度とは、骨密度と骨質が関係します。

動作の工夫と注意点

関節リウマチでは、関節に負担のかかる動作には注意が必要です。日常的な動作を工夫することは、関節への負担を軽減して、関節リウマチによる痛みや関節破壊の予防対策になります。生活指導の中でも、日常生活動作の工夫や注意点についての具体的な方法を学びます。動作の仕方の工夫だけでなく、省略できる動作や時間配分、更には装具や自助具の使用、人的介助も含めて関節に掛かる負担を考えていきます。
■日常生活動作の工夫:動作の注意点
○長時間同じ姿勢を続けない(時々、体をほぐすストレッチや、他の動作を取り入れたりします。)
○重いものを持つときは、片手ではなく両手で、両手よりは全身を使って物を持ちあげます。
○コーヒーカップは、両手で持ちます。
○キッチンでは、 座りながら仕事ができるようにイスを用意し、 動かしやすいワゴンを活用します。
○鍋の取っ手は手袋を使って手全体で持ちます。(指で持たない)
○ビンのフタをひねるときは、手首を親指方向に回すようにします。
○鞄は腕に掛けるか肩にかけます。(肘や肩が痛い場合は不向きです)
○買い物袋などは、手でなく肘にさげます。(肘が痛い場合は不向きです)
○雑巾がけは、小指側よりも親指側に力をかけます(小指側にかけると手首に負担がかかります)
○机などを拭くときは、右手に持って左方向に拭き、左手に持ち替えて右方向に拭きます。(片手だけで拭かない)
○ベッドから起きる時は、反動をつけないで、まず横向きになってから、次に肘の助けで体を起こします。
○室内履きはスリッパタイプではなく、かかとがついた靴タイプのものを使います。
■日常生活動作の工夫:自助具の使用
自助具は、関節リウマチによる障害で困難になってしまった動作ができるように補助する道具です。関節リウマチでは、関節への負担を軽減しながら身体機能や動作能力を維持するために、自助具の使用をおすすめします。ただ、自助具の多用は身体機能の低下につながりますから注意が必要です。自助具には市販のものから作業療法士など病院から提供されるものがあります。自助具それぞれの目的を理解して使いこなす練習が必要のようです。
■日常生活動作の工夫:補装具の使用
関節リウマチで使用される補装具は、関節を安静に保つことによる消炎効果・関節変形の進行予防・関節の免荷と支持性の向上を目的にしています。どの装具を使うかといった装具の使い分けは、関節リウマチの活動性や関節の状態に左右されます。医師の指示に従って装着することが基本です。家庭でできる装具療法としての装具の種類も多くあります。頚椎カラー・足底板・サポーター・スプリント・杖・靴・弾力包帯(エラスコット)などです。関節痛が辛いときにエラスコット(弾力包帯)を関節に巻いて固定する方法は、簡便で家庭で簡単に出来る装具療法といえます。

関節リウマチの生活環境

生活環境(住居)は関節リウマチ患者だけでなく介助をする家族にとっても大きな問題です。基本的には椅子・ベット・洋式トイレといった洋式の生活で、関節リウマチ患者の生活の全てが1階で可能であることが望ましいです。理想的な住まいづくりは、関節リウマチ患者を中心にした、日常動作が危険がなく楽にできて、夏涼しく・冬暖かく・風通しがよく・湿気を避けることが大切です。関節リウマチによる関節の変形や筋肉の低下で不便を感じることが多くなっていきます。住居の改造に関しては、大規模な改造というよりは部分的な改装が多く、病状に応じて少しづつ対応していくのが一般的のようです。改装費用の補助金制度がある自治体もあるようです。
■関節リウマチの日常生活環境(住居):玄関、床、階段、廊下
○玄関の敷居や上がりかまちは、段差を少なく、できればスロープにします。玄関ホールは滑りにくい床材にします。
○ドアは、車イスでも開閉できる引き戸がおすすめです。改装が無理ならばドアノブをレバー式に交換するか、自助具をドアノブにつけます。
○廊下には、手摺りを取り付けます。手摺りの位置は患者の腰の辺りの高さにします。
○床には、転倒防止としてにカーペットやマットを敷きます。足をひっかけないように、床に物を置かないようにして、電気コードは端に寄せて取り付けます。
○階段には、滑り止めと手すりを必ず取り付けます。階段昇降機や家庭用エレベーターという方法もあります。
■関節リウマチの日常生活環境(住居):トイレ
トイレは洋式トイレ(できればウォシュレットや簡易昇降便座付)にして、和式トイレならば簡易洋式便座を置きます。便座の近くに、頑丈な手摺りを取り付けると安心です。また、利き腕の側にペーパーホルダー・洗浄器のスイッチ・非常ボタンなどを配置します。
■関節リウマチの日常生活環境(住居):浴室
○脱衣所は、楽に衣類の脱ぎ着ができる広さを確保します。
○浴室には、滑り止めマットをおきます。
○浴槽と同じ高さの台か腰掛を設置します。(まず、台または腰掛に腰を下ろしてから、浴槽の出入りをします)
○壁と浴槽内に頑丈な手摺りをつけます。
○浴槽内では、しゃがまないで、イスを利用して腰掛けます。シャワーは、シャワー用椅子を利用して座って浴びます。
○便利グッズを活用します。(ポンプ式ボディーシャンプー、ミトン式スポンジ、長柄ボディーブラシ、洗髪用長柄ブラシなど)
■関節リウマチの日常生活環境(住居):キッチン
座ったまま作業できるような環境に整えて、作業を簡単にする便利な道具や電化製品を活用します。(ワゴン、自動食器洗い、電子レンジ、電動缶切り、レバー式の水道蛇口、スイッチ式のガス点火など)
○椅子は、流しの下に膝が入るような高さにします。(キャスターと背もたれが付いた椅子ならばキッチン内移動が楽です。)
○ガスコンロ・流し台・調理台は、同じ高さに統一します。
■関節リウマチの日常生活環境(住居):居室・寝室
長い時間を過ごす部屋は、風通しや日当たりがよく、湿気が少なく、トイレ・浴室・洗面所が近くにあるのが理想的です。寝室は、ベッドにします。敷布団は固めのマットレス、掛け布団は軽い羽根布団など、枕は低めで小さめがおすすめです。布団干しは布団乾燥機を利用します。

関節リウマチの食事

関節リウマチ固有の特別な食事療法は確立されていませんが、関節リウマチが消耗性の疾患であることから、良質のたんばく質・ビタミン・ミネラルなどに富んだ栄養バランスの良い食事が、関節リウマチの食事療法になります。食欲不振対策としては、食材選びだけでなく、献立・調理・盛りつけなどを工夫した食事が大切です。関節リウマチの薬治療の副作用などによって関節リウマチに合併しやすい貧血や骨粗鬆症などの関節外症状の予防対策としての食事であることも大切です。関節リウマチの症状が進行していて身体活動量が減ってくると、今までどおりの食事ではエネルギー摂取量が多すぎて肥満に繋がることがあります。肥満は関節や骨に負担をかけることにもなりますから、適切なエネルギー量を摂取して標準体重を維持する注意が必要です。1日に必要なエネルギー量については主治医に相談してください。
■関節リウマチの食事:消化のよい食べ物(食品)
関節リウマチでは、薬を長期間にわたって服用し続けことで胃腸障害が起こりやすいです。胃や腸の働きを弱めないことが肝要です。消化の良くない食べ物や食事には注意が必要で、身体が冷える食べ物(食品)も頻繁に食するのは避けた方がよいです。
■関節リウマチの食事:カルシウムが豊富な食べ物(食品)を摂る
関節リウマチは骨粗鬆症(骨粗しょう症)を合併しやすいです。そのため、日頃の食事で、カルシウムを多く含んだ食品を積極的に摂取することが望まれます。カルシウムの吸収を促すビタミンDも一緒に摂取します。塩分やリンの過剰摂取はカルシウムの吸収を阻害してしまいます。インスタント食品・加工食品・清涼飲料水には注意が必要です。
○カルシウムを多く含む食べ物(食品):牛乳、乳製品、小魚類、殻を食べるエビ、大豆、ホウレンソウ、コマツナ、ヒジキ、ゴマ
○ビタミンDを多く含む食べ物(食品):マグロの刺身、いわし、かつお、レバ-、卵黄、乾し椎茸、きくらげ
■関節リウマチの食事:良質のたんぱく質を含む食べ物(食品)を摂る
慢性的に炎症が続いて体力を消耗する関節リウマチでは、タンパク質は重要です。また、関節の機能低下が進むと、筋力の保持は非常に重要で、良質のたんぱく質を摂ることが必要です。
○良質のタンパク質を含む食べ物(食品):肉や魚の他、豆腐や納豆などの大豆製品
■関節リウマチの食事:ビタミンやミネラルが豊富な食べ物(食品)を摂る
関節リウマチでは、慢性的な炎症により、からだが消耗して鉄が欠乏して貧血を起こしやすくなります。鉄分の吸収を助けるビタミンCが豊富な野菜や果物を一緒に摂るのがよいです。ミネラルを多く含む海藻類は、慢性的に炎症が続いて体のエネルギーを多く消耗する病気である関節リウマチには欠かせない食べ物(食品)です。

※関節リウマチの薬治療に用いられるステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)や抗リウマチ剤など、薬の副作用による合併症や症状に対しては、それぞれの食事療法に準じます。

家庭でリハビリ運動

関節リウマチの治療の中で、薬治療に並んで重要な治療がリハビリテーションで、患者の自主訓練が重要とされる治療です。関節リウマチの運動療法(リハビリテーション)の目的は、関節の可動域(関節の動く範囲)の維持改善、筋力の維持改善、傷んだ関節の修復です。家庭でもできる身近な運動療法にリウマチ体操やラジオ体操といった自動運動や、関節を動かさないで筋肉だけを動かす等尺性運動(筋力増強訓練)などがあります。リウマチ体操などの運動を日常生活に取り入れて、地道にリハビリに取組んでいくことが大切です。リウマチ体操は、安静を取りがちな関節リウマチ患者専用に考案された体操で、関節のこわばりを取り、関節可動域を広げることができる、家庭でできる運動療法です。リウマチ体操は、各医療機関・施設で様々な方法で指導されています。リウマチ体操では、全身の関節を動かします。動かせるぎりぎりの所まで各関節をゆっくりと動かします。体操中に痛みがあったり、体操直後に痛みが多少強くなることがあるようですが、体操してから約2時間後にその痛みが残らなければ差し支えないようです。体操前に温浴や入浴などで関節を温めることをおすすめします。また、体操後は30分ほどゆったりと休息してください。毎日運動することが望ましいのですが、ひどい関節炎などで安静が必要な日もありますし、無理な運動で炎症を悪化せせてしまうこともあります。関節リウマチの病状は患者によって異なりますから、医師や理学療法士の指導を受けて、適切な運動療法を行ってください。
■家庭でできる運動療法の基本:目安と注意点
○医療機関で、家庭でできる運動療法の指導をしっかり受けてください。
○関節リウマチの病状が強いときは無理をしないで安静にします。炎症が落ち着いたら、徐々に運動を再開します。
○運動量や運動する時間は、徐々に少しずつ増やします。
○運動量と運動する時間の目安は、およそ次のとおりです。(運動中の痛みはある程度我慢しますが、無理は禁物です。)
・運動後1~2時間たっても痛みが続いているときは、翌日の運動量と運動する時間を減らします。
・運動した翌日になって、前日の痛みが残っているときは、前日よりも運動量と運動する時間を減らします。
・運動した翌日になって、運動中の痛みが前日の運動中の痛みより強い場合は、前日よりも運動量と運動する時間を減らします。

※関節リウマチのリハビリテーションの種類には、理学療法(物理療法・運動療法) 、作業療法、装具療法があります。関節リウマチのリハビリテーションは、関節リウマチの症状がではじめる初期段階から開始するのがよいとされています。

関節リウマチの冬季対策

冬の季節は関節リウマチの病状が悪化することが多い時期で、関節リウマチ患者にとって寒い冬は厄介な季節になります。関節痛やこわばりの症状は冬に悪化しやすいため、身体や関節を冷やさない対策が大切です。レイノー現象の症状がある場合は、冬季は特に注意が必要で、適切な対策が大切です。冬の季節は持病のない人でもウイルス感染などによる風邪に罹りやすい季節です。関節リウマチ患者にとっては、更に細心の注意が必要です。できるかぎりの予防対策で関節リウマチの病状悪化を防ぎましょう。
■関節リウマチの冬季対策:関節リウマチの関節痛やこわばり
○体や関節を冷やさないように防寒対策をします。
○こわばりが強くとも積極的に関節を動かすことで、血液の流れが改善され、症状の改善が期待できます。
■関節リウマチの冬季対策: レイノー現象の症状
レイノー現象の症状を予防対策は、手の保温が何より大切です。ただ、レイノー現象を完全に予防することは難しく、薬治療で症状を和らげたり症状が出ている期間を短縮するることができるようです。主治医と相談してください。
○外出時には手袋を着用します。
○水仕事には温水を使います。
○精神的緊張はレイノー現象の症状を悪化させます。リラックスした気分に保つことが大切です。
■関節リウマチの冬季対策:風邪予防対策
ウイルス感染などによる風邪は、関節リウマチの病状を悪化させる可能性があります。
○外出から帰宅後は、必ずうがい・手洗いをします。
○乾燥は風邪をひきやすくする原因です。加湿器などで室内が乾燥しすぎないように調節します。
○風邪をひいてしまったら、早期に風邪を治す努力をします。風邪薬を服用する場合は、服用中の治療薬との飲み合わせについて、主治医に相談します。(一般的に、ステロイドホルモン剤などの治療薬と風邪薬との併用は問題ないとされています。)
○インフルエンザ予防ワクチンの接種については、賛否両論があるようです。主治医と相談してください。

※レイノー現象とは、寒冷刺激によって手指や足先やが白く偏食する症状で、冷感・痺れ・痛みなどの症状を伴います。レイノー現象の程度が強いと白くなった後に紫色になったりします。レイノー現象の本体は指先の循環障害です。レイノー現象は、基礎疾患としての強皮症や混合性結合組織病(MCTD)に高頻度でにみられる症状ですが、全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチ(RA)などにもみられる症状です。基礎疾患を認めないレイノー現象の症状のみの疾患をレイノー病といいます。

関節リウマチの夏季対策

関節リウマチの症状は、一般的には関節を中心に冬の寒い時期に悪化することが多いのですが、暑い夏の時期にも注意点があります。身体が冷えたり湿度が高くなったりすると、関節リウマチを悪化させてしまいます。暑い時期の夏季にとりわけ注意したいのはエアコン(冷房)の使い方です。夏季のエアコン(冷房)による冷えは関節リウマチ(RA)にとっては大敵です。また、関節リウマチの薬治療の副作用で身体の抵抗力が落ちて感染症に罹りやすくなっていることがありますから、夏風邪にも注意が必要です。主治医と相談しながら万全の予防対策をして体調管理を行うことが望まれます。
■関節リウマチの夏季対策:エアコン冷房による冷え予防対策
○できればエアコン(冷房)は使わずに、扇風機を使います。
○夜のエアコンの使用は、タイマーを使って夜間睡眠中は切っておくのがよいです。夜間に連続使用するならば、除湿のみとか、温度設定を高めにするなど工夫をします。(夜間の冷えは、朝の起床時にこわばりが強くなったり、身体がだるいといった症状の原因になりますし、夏風邪の原因にもなります)
○エアコンの風向を上向きにしたりして、エアコンの風が直接間接部に当たらないようにします。(風が関節に直接当たると関節痛が強くなります)
○関節部の保温に気をつけます。(長袖・長ズボン・ブランケットなどで保温します。外出時には保温用サポーターや大判スカーフなどを利用します)
■関節リウマチの夏季対策:感染症予防対策
関節リウマチの薬治療としてステロイドホルモン剤や免疫抑制剤を使用している患者は多いです。これら薬の副作用で身体の抵抗力が低下して、感染症に罹りやすくなっていることがあります。夏風邪予防に帰宅後のうがいと手洗いをするだけでも予防対策になります。また、関節リウマチでは薬の副作用で胃腸が弱っていることも多いので、暑い時期には食中毒にも要注意です。
■関節リウマチの夏季対策:夏ばて予防対策(食事)
暑い夏の時期は、汗をかきますし、食事はあっさりした食べ物に偏りがちで、冷たい飲物や食べ物を好む傾向にあります。夏ばて予防対策が必要です。冷たい飲物や食べ物は、身体を冷やすだけでなく、胃腸を冷やして消化機能を下げます。冷たい食べ物や飲み物は避けたい食品です。汗はビタミンやミネラルなどの微量栄養素もいっしょに体外に排出しますから、汗をかいた後は、水分補給と一緒にビタミンやミネラルも補給してください。規則正しい生活、バランスのとれた食事、十分な睡眠が夏ばて予防対策の基本です。

利用できる公的制度

関節リウマチ患者が利用できる公的制度があります。公的な医療制度や福祉制度を活用して、関節リウマチによる経済的または身体的負担を軽減することができます。医療費が高額になった場合には、高額療養費制度、高額療養費貸付制度といった医療保証制度のほかに、身体障害者福祉制度、介護保険、年金保険、特定疾患治療研究事業などがあります。関節リウマチ治療は長期であることから、医療や福祉といった公的支援があるのですが、これら支援の殆どが申請手続きを行って対象者と認められないと受けることができません。それぞれの制度やサービスは、自治体や加入している保険組合で異なることがあります。申請には医師の診断書を含む諸々の書類が必要ですし、申請用の書式が決められたりしています。受診している医療機関(医師や会計窓口など)、保健所、役所(区・市・町・村など)の福祉課に確認して下さい。
■関節リウマチで利用できる公的制度:身体障害者福祉制度
身体障害者(1級~6級)に認定されると身体障害者手帳が交付されます。福祉制度による各種支援サービスを受けることができるメリットがあります。身体障害者認定の対象になるかどうかについては、主治医に確認してください。等級によって支援内容は異なりますが、運賃割引(電車やバスなど)、日常生活用具給付、住宅改造の助成、ホームヘルパー派遣サービスなどがあります。
■関節リウマチで利用できる公的制度:医療費負担の軽減
医療費の公的支援には幾つかあります。医療保険制度、老人保険制度、医療費助成制度(身体障害者手帳の交付が必要)、特定疾患治療研究事業(悪性関節リウマチを対象)などです。
○高額療養費:同じ医療施設で1ヵ月の医療費自己負担額が一定の金額(自己負担限度額)を超え高額になった場合、医療費の一部を後で払い戻して、経済的負担を軽減する制度です。
○税金の控除(確定申告):納税者本人とその扶養家族が支払った1年間の医療費を合わせ10万円を超えたとき、確定申告によって所得税の一部が還付されます。これを医療費控除といいます。身体障害者の認定を受けている場合は、障害者控除が受けられます。詳細は所轄税務署に問い合わせてください。
○障害年金:障害年金は、公的年金制度(厚生年金・国民年金)に加入している間に障害者になった場合に、年金や一時金が支給される制度です。障害厚生年金の申請先は社会保険事務所、障害基礎年金の申請先は市町村の年金担当課です。
■関節リウマチで利用できる公的制度:介護サービス
介護サービスを受けるには、各市町村の介護保険の窓口に申請します。担当ケアマネージャーや病院のメディカルソーシャルワーカーに相談してください。
○公的介護保険
介護保険では、特定疾病(関節リウマチもその一つ)で介護が必要な場合に、40~64歳であっても介護サービスが受けられます。介護保険では介護サ-ビスの利用のほかに、住宅改修や、福祉用具購入やレンタルなどの支援も受けられます。
○難病患者等居宅生活支援事業
身体障害者の認定を受けておらず、自宅で療養している関節リウマチ患者が受けられる支援です。ホームヘルプサービス、日常生活用具給付、ショートステイ(短期入所)などの支援策が受けられます。(条件:老人福祉法、身体障害者福祉法、介護保健法などの施策の対象にならないこと)

関節リウマチの病院探し

「関節リウマチかも」と関節リウマチかどうかはっきりしないならば、早い段階で関節リウマチに精通した専門医の診察を受けることをおすすめします。関節リウマチでは、早期発見・早期治療が予後を大きく左右することがあるからです。関節リウマチの受診科(診療科)はリウマチ科や膠原病科を標榜している病院・医院や、リウマチ専門医の資格を持つ医師のいる内科や整形外科のある病院・医院を受診すると良いです。関節リウマチの専門医がいる病院や施設は数多くありますが、自分に合った病院や専門医を見つけることが重要になります。ただ、病院探しで診断が遅れ、治療を始めるのが遅れてしまうことは避けてください。次から次へと病院を変えるといった、病院探しのハシゴはおすすめできません。関節破壊が急激に進行する関節リウマチもあります。初診ならば、病状の経過や質問事項を前もってメモなどに纏めておくと、手際よく受診ができますし、言い忘れや、聞きそこねが避けられます。最寄に専門医のいる病院が見つからない場合は、かかりつけの医師に相談してください。相談するときは、朝のこわばりの有無と持続時間、関節の腫れと痛みの症状についてしっかり伝えてください。関節リウマチが疑わしければ必要な検査を行って、専門医を紹介してくれるはずです。関節リウマチの治療は長期になりますから、主治医との相性や通院のしやすさなども考慮して病院探しをします。関節リウマチの病院探しのヒント(ポイント)としては、診断が的確で信頼できる、評判が良く遠方からの患者いる、リウマチ教室・リハビリなどの支援体制が充実している、治療において豊富な知識と技術がある、看護士などスタッフの対応がよい、などです。